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架空経営者Aでイノベーションを考えてみる

架空経営者Aでイノベーションが実際にどのような場面で発生するのかを、ドラッカーの7つの機会にあてはめて考えてみたいと思います。

前提としてAは、パン屋さんを経営していることにしましょう。

1.予期せぬこと(成功、失敗、事件)の生起

Aさんの隣にBさんがパン屋を開業しました。突然のライバル出現です。

Bさんと差別化しなければ売上が下がってしまいます。

ここで初めてAさんは、付加価値について真剣に考え始めます。

2.現実とあるべき姿とのギャプの存在

Aさんはフランス風のパン屋を目指していました。でも実際には、平凡なパン屋でしかありません。

自分が当初フランス風のパン屋をやりたかったこと自体忘れていました。

しかし偶然旅行した先でフランス風のパン屋を見て、自分が当初やりたかったことを思い出しました。そして今からでもそれにちかずけないか真剣に考えだしました。

3.ニーズ(事業プロセスの弱点の存在)

Aさんの街には老人がたくさん住んでいました。Aさんの作るパンは、老人向けではなく子供向けでした。

子供向けのパンから老人向けのパンを作るには、製造方法から販売ルートまで大きく変えなければなりません。これらを大きく変化させるには多大な時間を要しますが、Aさんは老人向けパンを作ることにしました。

税理士、舩橋と話しあっているうちに、戦略を変えなければ生き残れないと感じたからです。

4.産業と市場の構造変化

Aさんの街にもコロナ感染が広まってきました。市場はテイクアウトを望んでいるようです。今までもAさはテイクアウトを行っていましたが、市場の要望に応えてテイクアウトの割合を増やしました。その代わり店内の飲食スペースを減らしました。陳列棚のケースを増やし、テイクアウトの人が選びやすいように並べ方も変えました。

今まで通りの販売方法をしていたら、おそらくAさんの売上は減っていたと考えられます。

5.人口の変化

Aさんの街の人口が減ってきたようです。調べてみると昼間は会社勤めでビジネスマンが多い街だけど、それらのビジネスマンは夜には市街の自宅に帰っていることがわかりました。

つまり夜の街にいる人口自体が減っていることに、役所のデータで気づいたのです。そのため夜の営業はやめ、ビジネスマン向けの早朝とランチのサービスを充実させることにしました。商品もそういったビジネスマン向けのものを開発しました。

6.認識の変化(見方・考え方)

Aさんの街は古い街なのでオシャレな感性は必要ないと考えていました。

しかしある日、コインランドリーの横を通ったらすごくお客さんがいました。となりのコインランドリーは誰もいないのに。

そのコインランドリーは、とってもオシャレな内装でした。オシャレな感性はいらないと決めつけていましたが、古い街だからこそ新しいオシャレな感性を求めている人が多かったようです。

そこでAさんは、今までの認識を変えてオシャレなイタリアンカフェ風のパン屋に内装を変えたところ、売上が大きく伸びました。

7.発明発見による新知識の出現

Aさんは新しいパンの製造法を研究したいと考え、ユーチューブでいろいろなパンの製造方法を調べてみました。

ユーチューブは思っていたよりも多くの情報があり、あたらしい製造法を得ることが出来ました。これによりメニューバリエーションが増え、売上も向上しました。

 

舩橋のコメント

いかがでしたでしょうか。架空のAさんを作り、ドラッガーのイノベーションが起きる7つの場面に当てはめてみました。

Aさんは特別なことはしていませんよね。経営者なら当然考えるような当たり前のことを考えて、それを実行に移しているだけです。

ただこの当たり前のことが経営者には、なかなかできないんですよね。

是非、ご自身の会社をドラッカーの7つの場面に当てはめて、何をすべきか、を考えてみてください。売上が上がるかもしれません。