【相続税申告】貸家建付地の評価方法とは?~相続税の節税にもつながるポイント~
相続税の申告において、被相続人が所有していた土地に賃貸アパートなどが建っていた場合、その土地は「貸家建付地」として評価されます。この「貸家建付地評価」は、相続税の節税にも大きく影響する重要なポイントです。
今回は、税理士の視点から貸家建付地の評価方法について分かりやすく解説します。
貸家建付地とは?
貸家建付地とは、土地の上に貸家(賃貸アパートや貸家住宅など)が建っていて、かつその土地と建物の所有者が同じである土地を指します。つまり、被相続人がアパートなどを建てて貸していた土地がこれに該当します。
貸家建付地の評価方法
貸家建付地は、更地としての評価額から一定の減額をすることで評価額が下がり、結果的に相続税も軽減されます。具体的な評価方法は以下のとおりです。
【評価式】
貸家建付地の価額 = 自用地評価額 ×(1 − 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
この評価式に基づいて、以下の項目を把握する必要があります。
1. 自用地評価額(路線価方式・倍率方式)
自用地評価額とは、その土地を自分で使用しているものとして評価した場合の金額です。
- 市街地:路線価方式
路線価 × 土地面積 - 地方圏:倍率方式
固定資産税評価額 × 評価倍率
2. 借地権割合
路線価図に記載されている借地権割合(例:60%や70%など)を使用します。
3. 借家権割合(通常30%)
国税庁の基準により、**借家権割合は一律30%**とされています。変更は基本的にありません。
4. 賃貸割合
賃貸に出している面積の割合です。建物のうち、一部を自宅として使っていた場合などには、実際に貸していた部分の割合で調整します。
【具体例】評価のシミュレーション
例えば、以下のようなケースを考えてみます。
- 土地面積:200㎡
- 路線価:20万円/㎡
- 借地権割合:70%
- 借家権割合:30%
- 全部賃貸(賃貸割合100%)
この場合、
自用地評価額:200㎡ × 20万円 = 4,000万円
貸家建付地評価額:4,000万円 × (1 − 0.7 × 0.3 × 1.0)
= 4,000万円 × (1 − 0.21)
= 3,160万円
つまり、840万円の評価減となり、その分相続税も軽減されるのです。
注意点とよくある間違い
● 土地と建物の所有者が異なる場合は対象外
例えば、土地を親が所有し、建物を子が所有していた場合は「貸家建付地」には該当しません。
● 貸していない部分は減額対象にならない
空室が多い物件や自宅部分がある場合は、賃貸割合を正確に反映させましょう。
まとめ:貸家建付地評価は正確な判断がカギ
貸家建付地の評価は、相続税を大きく左右する重要な項目です。評価を適正に行うことで、合法的に節税が可能となります。
ただし、**評価方法を誤ると申告漏れや加算税のリスクもあります。**相続に関する土地の評価については、必ず税理士などの専門家へご相談ください。
【おわりに】相続税申告・土地評価のご相談はお任せください
当事務所では、貸家建付地を含む土地評価の実績が多数ございます。**Swellでご覧の皆さまも、お気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。**節税対策から税務調査対応まで、丁寧にサポートいたします。