【相続税対策】がけ地を有する宅地の評価方法とは?【税理士が解説】
こんにちは、税理士の舩橋です。
今回は、がけ地を含む宅地の相続税評価方法について解説いたします。
「がけ地があるから土地の価値が下がるはず」
そう思っていても、評価額に適切に反映されないと、相続税が思った以上に高くなる可能性があります。
がけ地とは?
まず「がけ地」とは、**傾斜度30度以上、高さ5メートル以上の法面(土地の傾斜部分)**を一般的に指します。
安全性や利用の制限から、宅地全体の利用価値に大きな影響を及ぼします。
がけ地を含む宅地の評価方法の基本
がけ地がある宅地は、そのままでは通常の宅地と同じようには評価できません。国税庁の「財産評価基本通達」では、以下のような方法で評価の調整が可能です。
① 宅地造成費の控除(造成費控除法)
がけ地があることで宅地として使いにくくなる場合、「宅地造成に要する費用」を考慮して評価額を減額します。これを造成費控除と呼びます。
例:
- 擁壁の設置
- 土留め工事
- 排水工事 など
これらの費用を試算し、その金額を土地の評価額から控除することが認められています。
② 不整形地補正率・奥行価格補正率との併用
がけ地が宅地の一部に偏って存在していたり、全体の形状がいびつであったりする場合は、不整形地補正率や奥行価格補正率も適用可能です。
造成費控除の具体的な流れ
- がけ地の位置・割合を調査
→ 図面や航空写真、現地確認をもとに確認 - 造成に必要な工事を見積もる
→ 建設業者や土地家屋調査士と連携して試算 - 造成費用を算出し、評価額から控除
実務上の注意点
- がけ地の存在を証明する資料(測量図・写真・建築制限の確認など)を用意することが重要です。
- 調整にあたっては専門的な判断が必要なため、税理士に加えて、建築士や不動産鑑定士と連携することもあります。
- 国税庁や税務署との見解が異なる場合は、事前相談や意見聴取を行うのが望ましいです。
まとめ
がけ地を含む宅地は、通常通りの評価をしてしまうと、本来よりも高い相続税が課税されるおそれがあります。
造成費控除や形状による補正を活用し、適切な評価を行うことが、納税者の権利を守る上で非常に重要です。
税理士 舩橋からのひとこと
相続に関する土地評価は、机上の計算だけでは解決できないケースも多いです。
「がけ地がある」「土地の一部が使いにくい」など、不安がある方はお気軽にご相談ください。
現地確認を含めた正確な評価と税務対応をご提案させていただきます。